Biotope Circles-生きるものたちの息づかいが聴こえる場所- Yoshidayamar(吉田山)・GROUP・奥多摩美術研究所・石毛 健太・藤倉 麻子・細井 美裕・渡辺 志桜里
シンボルプロムナード公園 (石と光の広場)
『循環』をテーマとした野外での展覧会です。キュレーターのYoshida yamar(吉田山)と建築家のコレクティブである“GROUP”、そしてコラボレーターの奥多摩美術研究所が展覧会のための舞台を設計。新進の現代アート作家たちが無機物・有機物を用いて、それぞれの表現手法で“Biotope Circles”(生きるものたちの息づかいが聴こえる場所)を多角的に作り上げていきます。
展覧会舞台の中核を成すのは、海を臨む臨海副都心の風景の象徴であり現代人の営みを支える「コンテナ」。さまざまな海を越えてきたコンテナを循環の象徴とし、表現の舞台として設置することで、物流を代表とした経済の営みと生物の営みをアートで結びつけるこれまでにない取り組みを展開します。
協力:神奈川大学須崎・印牧研究室
全ての点で自然を念頭におくこと。土地の精霊に相談せよ。
-アレクサンダー・ポープ
コンテナの中に詰められた土はこの埋立地から採集した土で、まばらに生える草本は元から土中に存在していた無数の種子がポリカーボネート製の窓から差し込んだ太陽光などによって発根・発芽したものだ。水分は吸水と蒸散を通して空気や茎や土の間を移動しコンテナの中を循環している。
もしこの作品を購入したなら大型コンテナ船に積載し、世界のどこかのフリーポートに輸送、保管してほしいと思っている。intermodal gardenは物流の中に存在し埋立用残土から生命を育む。
人造のシステムを天然自然とし、年を経るごとに、あるいは四季折々に姿形を変える、移動し続ける庭を作る。

タイヤトラッカーとは、達成“Fulfillment”途上にあるタイヤの情報を集める収集型プロジェクトである。“Fulfillment”とは物流用語で主には、商品の受注から決済に至るまでの業務全般に関することを意味し、直接的には“充実”と訳される。
このプロジェクトでは達成“Fulfillment”をテーマとし、畑の隅、駐車場、住宅の敷地内、庭に転がっているような自動車から外されたタイヤに注目。本作は、そのようなタイヤの情報を求めるインフォメーションセンターと、集められたタイヤの3D映像作品を組み合わせた複合型のインスタレーション作品となっている。
物流は常に達成“Fulfillment”を目指し、共にあるが、その達成“Fulfillment”側からは、達成“Fulfillment”の状態を把握することはない。こういった一方通行なコミュニケーションの中で達成“Fulfillment”へ向かおうとする道程をこの作品は指し示している。タイヤトラッカーは、物流するタイヤが、その存在をもって示す奥ゆかしい予感を意識し、達成“Fulfillment”がほんとうにあるのかを確かめるために、記し、伝えていく。

かつて、ひとびとはラリー・ショウ「Raree show」と呼ばれる箱によって、日本では「覗き機関(のぞきからくり)」と呼ばれている物にある「のぞきあな」を覗いて、ここではない別の世界を想像していた。それは箱の中に開けられた小さな穴を覗いて、大きな世界を想像していたという。時を経て、いつしか小さく光る箱の虜になった我々は、それを通して世界の日常を知ることができるようになる。他人の経験は自身の経験となり、既視感との戦いが始まった我々は、ついに視覚のユートピアを脳内に発見した。世界を旅した現代の箱としてのコンテナから、今改めて世界を耳で覗くことを促す機関であるラリー・ショウを制作する。

作品説明:ものが動くという事は、つまりそのものを宿主にしている何億もの⾍や微⽣物たちの⼤移動を同時に意味する。物流の拠点である港ではそういった船やコンテナや、そして⼈間までもを媒介にして、密かにさまざまな⽣き物たちが交流をしているのだ。近代以降、⼈類の移動の象徴であるものの⼀つ、⾞。その⾞を⼈間以上に開く事によって⾞を超えた機能を顕在化させる、というのが本作品の試みである。

参加アーティスト(五十音順) 赤池奈津希、赤石隆明、赤羽史亮、加茂昂、櫻井崇史、佐塚真啓、下山健太郎、永畑智大、古屋崇久、松尾勘太、三熊 將嗣、村山悟郎、山本篤、和田昌宏

